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【香川】100年銭湯をカフェに!アートと地元食材を味わう「藝術喫茶 清水温泉」
日本最大級の現代アートの祭典「瀬戸内国際芸術祭」の開催地である香川県。その西部にある多度津町の「藝術喫茶 清水温泉」は、アートをテーマに、銭湯をリノベーションしたカフェ。100年以上の歴史がある建物とアート、地元食材を使ったグルメが楽しめます。
アート県・香川にある「藝術喫茶 清水温泉」とは?
日本独特のスタイルの公衆浴場、銭湯。日本のお風呂文化が気軽に味わえる場所として、温泉と並んで人気のスポットです。
銭湯は、日本では江戸時代から大衆文化として普及したため、歴史を感じさせる建物も多く残っています。最近は、こうした建物をリノベーションしたカフェも出てきています。
こうした「銭湯カフェ」の中でも、特にアートをテーマにした人気スポットが、香川県多度津(たどつ)町にある「藝術喫茶 清水温泉」。
香川県は、日本最大級の現代アートの祭典「瀬戸内国際芸術祭」の開催地として知られています。そんな場所にふさわしいアートの香り漂う銭湯カフェを、2019年9月、訪ねてみました。
築100年以上の銭湯をリノベーション
多度津町は、瀬戸内海に面する港町です。かつては、日本でもっとも有名な神社の1つ、金刀比羅宮へお参りする際の玄関口として、多くの参拝者や商人でにぎわいました。
こうした歴史をしのばせる古民家街の一角にあるのが「藝術喫茶 清水温泉」。大正時代に建てられた建物は、築100年以上の歴史があります。
「藝術喫茶 清水温泉」に行くと、まず軒先ののれんが目に入るでしょう。日本の漢字が読める男性は、「女湯」という文字に一瞬戸惑うかもしれません。でも、男女どちらも、そのまま入って大丈夫ですよ。
のれんをくぐると、左側には盆栽が飾られており、目を和ませてくれます。こちらは「清水温泉」のご主人が手入れをされているもの。
入り口は、左側が「女湯」、右側が「男湯」と書かれています。こちらも、男女どちらから入っても大丈夫ですが、自分の性別とあった入り口から入ると、気分が盛り上がるかもしれませんね!
入り口に入るとすぐに靴箱がありますが、ここでは靴を脱がなくて大丈夫ですよ。
建物の中には、銭湯だったときに掛けられていた入浴料金表や絵が飾られており、歴史を感じさせます。
上の写真は、服や持ち物を入れるために使われていたロッカー。「貴重品は番台(銭湯の受付)へ」「着物は鍵ある棚へ」と書かれている注意書きが、銭湯だった時代をしのばせます。
銭湯に来た人たちが、受付で貴重品を預かってもらい、服を脱いで、うきうきした気分でお風呂に向かう。そんなにぎやかな光景が目に浮かぶようです。
店内にはさまざまなタイプの席がありますが、特に人気なのはこちら。タイル張りの浴槽が、そのまま座席になっています。銭湯や温泉に入り慣れている人は、この中に入ると、まるでお風呂に浸かっているようにリラックスできそうですね。
地元の名産を生かしたかき氷とハンバーグ
「藝術喫茶 清水温泉」はスイーツからランチ・ディナーまで、さまざまなメニューを提供しています。スイーツで特に人気なのは、かき氷「二ノ宮金時(にのみやきんとき)」、ランチ・ディナーで人気なのは豆腐ハンバーグです。
かき氷「二ノ宮金時」
「二ノ宮金時」(税込800円)は、香川県の名産「高瀬茶」で作ったシロップを使ったかき氷です。「高瀬茶」は生産量が少ないため、香川県外ではめったに飲めない幻の銘茶。深みのある繊細な味わいが魅力です。
さらに、「二ノ宮金時」には、多度津町の豆腐店「絹喜代(あみきよ)」の豆腐を加えた白玉が添えられています。「絹喜代」は1950年代に操業した老舗。ここの濃厚な豆乳を活用した白玉には、独特のまろやかさがあります。
豆腐ハンバーグ
Picture courtesy of 藝術喫茶 清水温泉
豆腐ハンバーグ(税込1,000円)は、「オリーブ牛」と、前述の「絹喜代」の豆腐を使ったハンバーグ。「オリーブ牛」は、香川県小豆島の名産であるオリーブを飼料として育てた香川県の和牛で、脂の口溶けがよく、後味がさっぱりしています。
このオリーブ牛と、老舗店の豆腐の濃厚な味わいがよくマッチした、すばらしい一品です。
アートを通して「素の自分」であれる場所を
「藝術喫茶 清水温泉」に来て気づくのが、店内のあちこちに、かわいらしい絵が描かれていたり、素敵な置物があったりすることです。これは、オーナーの日高明道(ひだか・あきみち)さんのこだわり。
日高さんは、もともと奈良県でアートアトリエを経営していましたが、縁があり、2017年から多度津町の地域活性化の関わるように。そして翌2018年5月、「藝術喫茶 清水温泉」をオープンしました。
「藝術喫茶 清水温泉」を立ち上げた目的の1つは、周辺地域を活気づけることです。ですが、日高さんにはもう1つの思いがあります。
「アートに向き合うとき、人は肩書や社会的立場を忘れて、素の自分に戻れます。さまざまな人が、自分らしく生きていく一助となる場を作りたい。そんな思いから『藝術喫茶』と名付けました」。
「アートの根幹にあるのは、自由な遊び心だと思います。ここに来たら、古い建物やアートを、子どものように楽しんでほしい」と語る日高さん。
「藝術喫茶 清水温泉」の中には、オリジナルのカプセルトイ、ユーモラスな置物、かわいい絵が描かれたキーホルダーやステッカーといったおみやげ、昔の銭湯で定番だった、氷入りのたらいに入ったコーヒー牛乳といった、面白いものがたくさんあります。
今後は、アートを学ぶ学生たちの展示を行ったり、一般の人が気軽にアートを楽しめる講習を開催することも検討しているそう。
「藝術喫茶 清水温泉」へのアクセス
「藝術喫茶 清水温泉」は、JR多度津駅から約750メートル、徒歩15分ほどとなります。近隣のハブ駅であるJR高松駅から多度津駅までは普通電車で30分程度、JR岡山駅からは特急で約40分、快速と普通電車を使う場合は50分程度です。
カフェのすぐ隣には、10台ほどの車が停められる駐車場があります。レンタカーの場合は、こちらを活用しましょう。高松空港やJR高松駅周辺には、平成レンタカーやニッポンレンタカーなど、外国語対応した予約サイトのあるレンタカー会社がありますよ。
隣には総菜処「てつや」も
「藝術喫茶 清水温泉」の隣には、惣菜処「てつや」があります。こちらも日によってランチを提供していますので、覗いてみるのがオススメです。
多度津町は、香川県の人気スポットである金刀比羅宮がある琴平まで車で30分、電車で15分ほどで行けるため、周遊してもよさそうです。なお、本記事で紹介したかき氷「二ノ宮金時」は、金刀比羅宮へ向かう石段の192段目にある「ご利益や」でも楽しめます。
このほか、JR多度津駅から徒歩15分ほどの距離にある多度津港からは、高見島へ行くことができます。高見島は、瀬戸内国際芸術祭の舞台の1つ。瀬戸内国際芸術祭の時期には、さまざまなアート作品が楽しめますよ。
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In cooperation with 藝術喫茶 清水温泉
企業のIR/CSR分野のPR、国際協力分野の情報誌編集を経て、2017年10月にMATCHAに参加しました。2019年4月から香川県三豊市に移住。訪日観光客向けの記事を書くほか、地域おこしにも携わっています。
インターネットサービスやレンタカー、ホテルなどのほか、また西日本の観光スポットの記事を主に担当しています。